ひな人形

親王飾り

男雛・女雛だけの雛(ひな)人形飾りのことをいいます。大変シンプルな雛(ひな)人形なので、飾ったり納めるのが簡単で、狭小住宅が増えている現代では、特に人気のある雛(ひな)人形です。高級な西陣織金襴、唐織、友禅といった豪華な衣装が着つけられている十二単の女雛や束帯雛も人気があります。
親王飾りは「平飾り」とも呼び、台は木製のものが一般的で、飾る雛(ひな)人形も、男雛・女雛(親王)だけですから、高級で上質な親王を選ぶことが出来ます。

写真:親王飾り

お人形名称・紹介
親王(しんのう)

親王(しんのう)

一番上は内裏雛・親王雛と呼ばれ、男雛・女雛の一対のお人形。
「殿と姫」呼ばれることもあります。
お雛様の男雛・女雛は、天皇と皇后を表しており、天皇皇后の結婚式を模しています。夫婦の理想像である天皇と皇后のように、良縁に巡り会えますようにと祈りが込められています。

お道具名称・紹介
1 飾り台(かざりだい)

飾り台(かざりだい)

お人形やお道具を飾り付ける台です。

2 屏風(びょうぶ)

屏風(びょうぶ)

親王の後ろに飾り付けます。金屏風や木製屏風等様々な種類があります。日本ならではの風景や柄等が描かれた物も多く、雛(ひな)人形の美しさをより際立たせます。

3 雪洞(ぼんぼり)

雪洞(ぼんぼり)

親王の両脇に飾られる雪洞(ぼんぼり)は江戸時代に、「ぼやけていてはっきりしないさま」などの意味でつかわれた「ぼんぼり」 が名前の由来とされています。

4 纓(えい)

纓(えい)

冠の後ろに挿す付属品です。

5 冠(かんむり)

冠(かんむり)

束帯を着用する際に着用します。

6 笏(しゃく)

笏(しゃく)

束帯を着用する際に手に持つ長細い板です。
実際には威厳を示す為ではなく、公事の際、笏(しゃく)の後ろにメモ書きした紙を張り付けるなどして活用されていたようです。

7 太刀(たち)

太刀(たち)

束帯を着用する際に腰に差す刀です。

8 檜扇(ひおうぎ)

檜扇(ひおうぎ)

束帯を着用する際に手に持ちます。
宮中行事の作法などをメモするために用いられたともいわれますが、女性の場合は顔を隠すためにも用いたので近世では「大翳(おおかざし)」とも呼びました。

9 橘(たちばな)

橘(たちばな)

内裏の紫宸殿前に植えられた橘の木のことです。天皇側近の武官として重要な存在であった左右近衛府(このえふ)がこの橘から南を陣としたところから名づけられれました。橘は実より花や常緑の葉が注目され松などと同様、常緑が「永遠」を喩えるということで喜ばれました。

10 菱台(ひしだい)

菱台(ひしだい)

菱餅を飾り付ける為の台です。 菱餅の緑は草萌える大地。白は雪の純白。ピンクは桃の花を表しており、三月の早春の景色を象徴しています。菱餅のヨモギは、古来より厄を払う薬草で造血作用があり、桃は古代中国では魔除けの力があるとされ、皮膚病の薬としても珍重されていました。また菱餅の赤は、くちなしで染められていて解毒作用があったそうです。いずれも汚れを払う薬草ですから、縁起がよく生命力があり、女の子の健やかな成長を願うひな祭りにふさわしいものです。

11 三方(さんぽう)

三方(さんぽう)

三方向に穴があいている台で、おもてなしに使用するものです。

12 桜(さくら)

桜(さくら)

右近の橘と同様に、左近の桜とは紫宸殿(ししんでん)南階段下の東方に植えられた桜。朝儀の際、左近衛府の武官がこの南側に詰めたことから名づけられました。現在も京都御所内の紫宸殿に植えられています。