ひな人形
十五人飾り
最も人数が多いのが十五人飾りで、十五人飾りには「七段飾り」と「五段飾り」があります。
中でも一番豪華で大きな飾りが「十五人揃い七段飾り」で、これを少しコンパクトにしたのが「十五人揃い五段飾り」になります。また、少し人数の少ない飾りとして、「十人揃い五段飾り」があります。
一般的に十五人揃いには、七段飾り・五段飾り共に、人形十五人と雛道具、雪洞、桜橘などが含まれ、十人揃いは人形十人と雛道具、雪洞、桜橘などが含まれます。
お人形名称・紹介 | ||
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あ |
親王(しんのう)一番上は内裏雛・親王雛と呼ばれ、男雛・女雛の一対のお人形。 |
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い |
官女(かんじょ)天皇皇后である男雛・女雛の身の回りのお世話をする宮仕えの女性たち。 |
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う |
五人囃子(ごにんばやし)大鼓、小鼓、横笛、謡と、能楽を演奏する楽団が並びます。 |
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え |
随身 右大臣(ずいじん うだいじん)宮廷を養護する武官。今で言えば、天皇皇后、両陛下をお守りする、SP・ガードマンのような存在で、若者の方が右大臣です。 天皇のみ着けられる立纓(りゅうえい)とは異なる巻纓冠(けんえいかん)、礼装の武官束帯で持つため装飾の施された美しい「儀仗の弓(ぎじょうのゆみ)」、儀式に用いる装飾的で形式化した「儀仗の剣(ぎじょうのけん)」、鷲・鷹など鳥の尾羽を使用して作られたとされる矢羽を身に着けています。 |
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お |
随身 左大臣右大臣(ずいじん さだいじん)右大臣同様宮廷を養護する武官。老人の方が左大臣です。 身に着けているものは右大臣と同じですが、左大臣の方が位が高く、「闕腋の袍(けってきのほう)」と呼ばれる緋色と先出の黒色の袍を纏っています。 |
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か |
仕丁(しちょう)別名を衛士(えじ)と言い、天皇が外出するときの従者として色々な雑務をこなしています。 向かって右から台笠、沓台、立傘を持っています。(京雛などでは、御所の掃除道具をしているため箒やちりとり熊手が持ち物になっています。) 顔をよく見ると、泣き上戸、笑い上戸、怒り上戸と表情豊かです。 |
お道具名称・紹介 | ||
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1 |
飾り台(かざりだい)お人形やお道具を飾り付ける台です。 |
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2 |
屏風(びょうぶ)親王の後ろに飾り付けます。金屏風や木製屏風等様々な種類があります。日本ならではの風景や柄等が描かれた物も多く、雛(ひな)人形の美しさをより際立たせます。 |
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3 |
雪洞(ぼんぼり)親王の両脇に飾られる雪洞(ぼんぼり)は江戸時代に、「ぼやけていてはっきりしないさま」などの意味でつかわれた「ぼんぼり」 が名前の由来とされています。 |
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4 |
纓(えい)冠の後ろに挿す付属品です。 |
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5 |
冠(かんむり)束帯を着用する際に着用します。 |
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6 |
笏(しゃく)束帯を着用する際に手に持つ長細い板です。 |
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7 |
太刀(たち)束帯を着用する際に腰に差す刀です。 |
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8 |
檜扇(ひおうぎ)束帯を着用する際に手に持ちます。 |
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9 |
三方(さんぽう)三方向に穴があいている台で、おもてなしに使用するものです。 |
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加えの銚子(くわえのちょうし)鍋に似た形の金属製の器。銚子の一種でかつては宴席で酒を注ぎ勧めるのに使用されていたものですが、室町時代以降は銚子が晴れの席に用いられるようになりました。 |
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11 |
三方(さんぽう)・嶋台(しまだい)祝儀の飾りの置物。 |
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12 |
長柄銚子(ながえのちょうし)長い柄のある酒器で「銚子」とも言います。盃に酒を注ぐもので長い部分を長柄(ながえ)と呼んでいます。 |
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13 |
高杯(たかつき)食べ物等を身分の高い人に献上する為に使う足つきの台です。 |
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太鼓(たいこ)太鼓は、いわゆる締太鼓のことで、構造は基本的に鼓(つづみ)とかわらず、音を響かせない小さな音と響かせる大きな音の2種で、四拍子のリズムを主導する役割を担います。 |
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15 |
大皮(おおかわ)材質、構造はほぼ小鼓に等しく、全体的にひとまわり大きくなっています。左手で持って左膝に置き、右手を横に差し出して強く打ちこみます。小鼓と違い左手で調緒(しらべお)の調節をしないために、音色の種類は、右手の打ち方によって分けます。 |
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16 |
小鼓(こつづみ)鼓は、桜の胴に、表裏2枚の馬の革を置き、「調緒(しらべお)」という麻紐で締めあげた楽器です。左手で調緒を持ち、右肩にかついで右手で打ち、調緒のしぼり方、革を打つ位置、打ち方の強弱によって音階を出すことが出来ます。 |
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笛(ふえ)/能管(のうかん)竹でできています。唯一のメロディ楽器でありながら打楽器的なリズムを刻む奏法を主としています。 |
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18 |
扇(おうぎ)謡う際にはそれを構え、休みの際には下ろします。謡はもちろん、扇の所作も芸のうちとされていたそうです。 |
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脇差(わきざし)太刀よりも小さい予備の武器です。 |
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20 |
巻纓冠(けんえいかん)巻纓冠(けんえいかん)は警固の任務の際にかぶるものです。 |
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背矢(せや)警護に使用する矢を束ねて背中に差します。 |
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22 |
持矢(もちや)警護に使用する矢で、羽部分には、主として鳥の尾羽で鷲・鷹など大形のものが使用されていたようです。 |
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23 |
儀仗の弓(ぎじょうのゆみ)礼装の武官束帯で持つため装飾の施された美しい弓です。 |
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儀仗の剣(ぎじょうのけん)儀式に用いる装飾的で形式化した太刀で、刀身には刃はつけなかったようです。 |
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25 |
御膳(ごぜん)お膳の高級品の型です。四方側面に格狭間(こうざま)を大きく透かした足の縁に盤を載せ懸けた構造から懸盤といいます。黒漆金蒔絵の装飾が施されてとても豪華です。江戸時代後期になると雛人形も華美になり、大名家では雛に供えて人も祝う雛の料理も贅沢になりました。懸盤膳(かけばんぜん)の中には本物の食物が入っていたそうです。 |
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26 |
菱台(ひしだい)菱餅を飾り付ける為の台です。 菱餅の緑は草萌える大地。白は雪の純白。ピンクは桃の花を表しており、三月の早春の景色を象徴しています。菱餅のヨモギは、古来より厄を払う薬草で造血作用があり、桃は古代中国では魔除けの力があるとされ、皮膚病の薬としても珍重されていました。また菱餅の赤は、くちなしで染められていて解毒作用があったそうです。いずれも汚れを払う薬草ですから、縁起がよく生命力があり、女の子の健やかな成長を願うひな祭りにふさわしいものです。 |
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27 |
橘(たちばな)内裏の紫宸殿前に植えられた橘の木のことです。天皇側近の武官として重要な存在であった左右近衛府(このえふ)がこの橘から南を陣としたところから名づけられれました。橘は実より花や常緑の葉が注目され松などと同様、常緑が「永遠」を喩えるということで喜ばれました。 |
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桜(さくら)右近の橘と同様に、左近の桜とは紫宸殿(ししんでん)南階段下の東方に植えられた桜。朝儀の際、左近衛府の武官がこの南側に詰めたことから名づけられました。現在も京都御所内の紫宸殿に植えられています。 |
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烏帽子(えぼし)礼服を着用する際に成人男性がかぶる帽子です。庶民出身である仕丁(しちょう)は冠ではなく烏帽子(えぼし)をかぶっていました。 |
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台笠(だいがさ)・熊手(くまで)棒の先端に笠を付け、そのうえにさらに袋にかぶせたものを台笠(だいがさ)と呼びます。 |
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沓台(くつだい)・ちりとり貴人の靴を置くための台です。 |
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立傘(たちがさ)・ほうきこちらは被る笠ではなく、差す傘が袋の中に納められています。 |
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箪笥(たんす)姫君のきらびやかで優雅な生活を象徴するかのような豪華な箪笥です。当時、箪笥を持つ事が出来たのは上流階級の人達だけで、庶民は多くの衣類を持ち合わせておらず長持など箱の形状のものに衣類や家財道具を収納していたようです。 |
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挟箱(はさみばこ)外出する際に衣類等を収納する箱です。 収納した後は従者に担がせて運びます。 |
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長持(ながもち)衣類や寝具を入れるための長方形の容器です。長端部には棹(さお)を通すための金具があり、運搬時はここに太い棹(長持棹)を通して2人で担ぎ、持ち運びます。 |
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鏡台(きょうだい)衣類や寝具を入れるための長方形の容器です。長端部には棹(さお)を通すための金具があり、運搬時はここに太い棹(長持棹)を通して2人で担ぎ、持ち運びます。 |
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針箱(はりばこ)今のようなミシンがない時代、既製品など無く衣類のみならず日常生活のすべてが手作りだった時代、いつもそばにあるお針箱は大活躍だったと思われます。 |
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火鉢(ひばち)中には灰を入れて暖房のように使う道具。火桶と呼ばれていたものも後世には火鉢の名で呼ばれるようになりました。 |
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衣装袋(いしょうぶくろ)婚礼の飾調度として、表地は唐織、裏地は綾や平絹で華麗に仕立てたようです。装束や調度品を納めて持参するので地質を強固にするため、組緒を縦横にめぐらし表刺縫いにしたことから表刺袋(うわざしぶくろ)とも呼ばれました。 |
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茶道具(ちゃどうぐ)茶道は武家の子女にとって花嫁修業というより’たしなみ’に近い存在だったようです。 |
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御駕籠(おかご)人が乗り込む籠の部分を一本の棒に吊し、複数人で棒を前後から担いで運ぶ乗り物。同様に人力で人を運ぶ輿(こし)は、2本以上の棒の上に人が乗る台を載せたものです。 |
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重箱(じゅうばこ)室町時代の文献に「重箱」の記述があり、名前の由来は箱を何段にも重ねた事からだそうです。 その歴史はかなり古く一般庶民に普及したのは江戸時代でした。狩りやお花見なに出かけるときにも重宝されたようです。現代ではお正月のおせちを入れるものという感覚のようです。 |
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御所車(ごしょぐるま)交通手段のひとつとして平安時代では貴族の一般的な乗り物でしたが、後には移動のための機能性よりも、使用者の権威を示す傾向がありました。基本的に男女の区別がない一方、昇降には細かい作法があり女性が乗る場合には「出衣(いだしぎぬ)」といって簾(すだれ)の下から衣や下簾(したすだれ)を出すことで「女車」と分かり、その趣向・風情で身分・家柄もある程度表したそうです。 |